絵本の部屋

すずらん舎がおすすめしたい
絵本のご紹介です。
絵本との新しい出会いや、絵本を選ぶ参考に
していただけると幸いです。

はたらきもののじょせつしゃけいてぃー

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バージニア・リー・バートン 文・絵 / 石井 桃子 訳 | 福音館書店

のそのそと雪が降っています。

絵本で見る雪景色は美しく、楽しく

わくわくするような場面がいっぱいですが

現実の雪国の雪は厳しく、大変なことがいっぱいです。

そんな中、夜中でも、早朝でも

除雪をしてくれるみなさまには本当に頭が下がります。

そんな人知れずもくもくと働いてくれる除雪車を主人公にした絵本をご紹介します。

 

けいてぃーは赤い立派なトラクターで

夏はブルドーザーとして、冬は除雪車として働いています。

ある冬の晩、すごい雪になって町は雪にすっぽりと覆われてしまいます。

町のみんなは仕事ができなくてけいてぃーに助けを求めます。

けいてぃーは一人で町を助けることができるのでしょうか。

バートンの絵本には、他にもショベルカーや

ケーブルカーが主役の絵本もあります。

けいてぃーの中にもいろいろな乗り物が散りばめられていて

きっと男の子は大好きになってしまうんじゃないかと思います。

 

バートンの絵本はアメリカの古典とも言われ

世界中でロングセラーになっていて

日本では「いたずらきかんしゃちゅうちゅう」が

82年前に出版されています。

長年に渡って色あせず

いつの時代の子どもたちにも親しまれているって

よくよく考えるともの凄いことで

それが絵本のすごいところだなと思います。

雪国では、除雪車がなければ、誰も彼も仕事もできず

家からも出られない時があります。

どんな時でもみんなのために働いてくれる除雪車と

運転手のみなさんに心から感謝とこの絵本を贈りたいものです。

 

本文の中にこんな一節があります。

「じぇいぽりすの まちは すっぽり

まっしろい ゆきの もうふの したに かくれました。」

ぴんと空気が澄んで、音も雪が吸いこんで

しんと静かで白い毛布がどこまでもどこまでも

何もかも包みこんで広がっていく。

こんな夜が確かにあるんですよね。

大変なのは十分身にしみていますが

こういう瞬間を目の前にするとその時だけは

雪国に生まれて良かったなと思います。